当店の開店時間8時と同時に、近所のお客様がご来店。
「明日、葬式なので今日中に!」
とのご要望で女性用の黒のフォーマルのワンピースをお預かりしました。
「お預かりした!」って事は当然の事として納期のお約束も守ります。
つまり、今日中に納品するお約束でお預かりしました。
画像でも確認出来ると思いますが、広範囲に染みが付いています。
確かにこの状態じゃ、着用出来ませんね。
広範囲に汚れているので、出来ればもう少し長くお預かりしたいのですが
お客様の着用日が明日なので何とかしなくてはなりません。
フォーマルウェアの着用頻度って年に何回ぐらいでしょう?
頻繁に着る方もいらっしぃいます。
最低でも衣替えの時期にはクリーニングに出す!って方も多いです。
「冠婚葬祭が滅多にない。殆ど着ない!」って方もいらっしゃいます。
黒のフォーマルのスーツで女性用ともなれば葬礼時にしか出番がないので
尚更、着る機会は少ないのかもしれません。
それと、出番があったとしても「着用してる時間は極わずか!」なんて場合もあります。
酒宴にも出席して多少はご馳走になってきたとしても帰宅して着替えたら
「クリーニングに!」って思わない方も少なくはないですね。
「だって・・・汚れてない!」
「だって・・・あまり着てない!」
「だって・・・面倒!」
「だって・・・」
理由は多々ありますよね。
婚礼なら準備も出来ますので、クローゼットから出してみて点検し
「しわくちゃ」だったり、染みや汚れがあればクリーニングに出す時間的余裕もあるでしょう。
でも・・・・今回のお客様の様に葬礼は突然の場合もあります。
急なお葬式!
こんな広範囲の染みがなければ、多分そのまま着たんでしょう。
でも、「うわ~!!何これ!」
収納する際には、全くなかった染みが長期収納の際に浮き出てしまって
さぞかし、ビックリした事でしょう。
で・・・・慌てて当店へ!って感じです。
収納する場所の環境(湿度や温度)はお客様によって様々です。
フォーマル関係の衣類はいざと言う時に慌てない様に時々点検してみて下さい。
「とにかく、急いで!」
「お願い!間に合わせて!」
どんどん、ご要望を言ってください。
可能な限り、努力致します。
・・・と今日はココで終了のつもりでしたが「急ぎでお願い」で思い出した事があります。
別のお客様(時々来て下さる方)から聞いた話をご紹介します。
私の方からは何も聞いていないのですが・・・
「うちの、すぐ近所にもクリーニング屋があるんだけどねぇ」
って私しか居ないのに声をひそめながら、話してくれた内容とは・・・
凄く困った時にすがる思いで、急ぎでワイシャツ1枚お願いしたら「無理」って断れたんだそうです。
だから、頭にきてそれ以来そのお店には行ってないとの事。
断る際にそのお店の方がどんな言い方をしたのかは想像するしかありません。
ちょっとしたことなんですが、かなり印象が悪かったんでしょうね。
そのお客様はずっと覚えてて他店に来てまで、こうして話しちゃうものなんです。
私はいつも思います。
他店の悪い話をお客様に聞くたびに
「明日はわが身かもなぁ」
その話をしてくれたお客様には、
「うちは大丈夫ですから、うちに持ってきて下さいね」って答えようとしたのですが、
急いで欲しい品がワイシャツ一枚との事だったので、同業の立場で話しました。
「どうしても無理でお役にたてない場合もあるんですよねぇ」
お客様にとっては、「ワイシャツ。しかもたった一枚なのに出来ないの?」
「意地悪!不親切ねぇ」って思うかもしれません。
確かに一枚のワイシャツを洗ってプレスして1時間でお渡しする事は不可能ではありません。
ワイシャツではなく、ドライクリーニングが対象の繊維素材製品なら
もっと、短時間でお渡しも可能でしょう。
では、何故お断りしてしまうのか?
ワイシャツの例で話します。
ワイシャツのロットはお店によって様々ですが、仮に100枚としましょう。
一回の処理で100枚のワイシャツを同時に洗って、全て機械で仕上げる!
こうした同時処理が出来るからこそ、単価を低価格に設定出来るわけです。
洗う時間だって、機械任せでやってて1時間弱はかかっていますよ。
解りやすく説明するとこんな流れです。
予洗→荒脱水→本洗→荒脱水→すすぎ1回目→荒脱水→すすぎ2回目→荒脱水→加工剤(糊)処理→脱水
使用する洗剤だって、家庭洗濯の様に一種類ではありません。
予洗用の洗剤と複数ビルダー(助剤)
本洗用の洗剤と複数のビルダー(助剤)
それに、加工剤(糊)
洗う温度は60度以上で20分前後は洗うでしょう。
洗濯機に入れた大量の水を蒸気によって加熱し60度まで水温を上げるには結構な燃料がかかりますよ。
洗った後のワイシャツは乾燥させません。
脱水後の生乾きの状態で、高温プレスです。
さて・・・
前日に受注分のワイシャツを処理した後になって、
「ワイシャツ一枚を急ぎでお願い!」となるとどうでしょう?
例えば1枚200円のワイシャツを100枚処理すれば20,000円です。
一回の洗いで20,000の収入。それから経費を引いて利益を出してるとします。
一度に100枚前後のロットで洗うワイシャツ。
ですから、急ぎのワイシャツ1枚に同じ作業は無理なんです。
物理的に可能ですが、お客様から1枚のワイシャツのクリーニング代として20,000円は
請求出来ません。
そうしますと、通常のワイシャツ洗いの工程とは違った工夫が必要になります。
私だったら、大型の業務用の洗濯機は使用せず、
二層式の家庭用の洗濯機を使用して1点洗いします。
そんな手間をかけてやっても、やはり頂けるクリーニング代金は200円
それでも、「困った!何とかして!」なら出来る限りの事はやります。
でも、どうしても「無理」ってのもあると思うんです。
その際にはご了承下さいませ。
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